[UML] オブジェクト図を完全に理解しよう

[UML] オブジェクト図を完全に理解しよう

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dongAuthor
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ソフトウェア開発プロジェクトにおいて複雑なシステムの構造を説明する際、クラス図はあたかも設計図のようなものです。しかし、この設計図だけでは特定の瞬間にシステムが実際にどのように動作しているかを把握することが難しいことがあります。まさにこのようなとき、システムのスナップショットを示す UML オブジェクト図(Object Diagram)が大きな助けになります。

この記事では、UML オブジェクト図とは何か、主要な構成要素はどのようなものかを確認し、クラス図との違いを通じていつオブジェクト図を使うべきかを明確に理解していきます。また、実際の開発シナリオに適用された例とベストプラクティスを通じて、皆さんのソフトウェア設計能力を一段階引き上げる手助けをしたいと思います。

UML オブジェクト図とは?

UML オブジェクト図は、特定の時点のシステム状態を示す構造的な図です。クラス図がシステムの一般的な構造と関係を抽象的に表現するのに対し、オブジェクト図はそのクラスたちの実際のインスタンス(オブジェクト)が特定の瞬間にどのような値(状態)を持ち、どのように接続されているかを具体的に示します。

この特徴ゆえに、オブジェクト図は「インスタンス図」とも呼ばれます。複雑なクラス図だけでは理解しにくいシステムの動作方式を、具体的な例を通じて明確に把握するのに非常に有用です。

オブジェクト図の主要構成要素

オブジェクト図は比較的単純な要素で構成されており、理解しやすいです。主要な構成要素を見てみましょう。

  • オブジェクト(Object):オブジェクトはクラスのインスタンスです。四角形内に オブジェクト名: クラス名 という形式で記述し、下線を引くのが標準です。例えば user1: UserUser クラスのインスタンスである user1 オブジェクトを意味します。
  • リンク(Link):リンクはオブジェクト間の関係を表します。クラス図の「関連(Association)」が実際に実装されたインスタンスと言えます。リンクはオブジェクトたちを実線で結び、そこからオブジェクトたちが互いにメッセージをやり取りできることを示します。
  • 状態(State)と属性値:オブジェクトが特定の時点で持っている属性(attribute)の値です。これらの値が集まって該当オブジェクトの状態を定義します。例えば、user1 オブジェクトが name = "김철수" という属性値を持っているなら、これがその瞬間の状態を表します。

クラス図とオブジェクト図の違い

二つの図は似て見えますが、表現対象と目的において明確な違いがあります。

区分 クラス図 オブジェクト図
抽象化レベル 高い (抽象的モデル) 低い (具体的インスタンス)
表現対象 クラス、属性、メソッド、関係 オブジェクト(インスタンス)、属性値、リンク
目的 システムの全体的な静的構造設計 特定時点のシステム状態スナップショット、複雑な構造の例示
時間 時間に依存しない 特定の時点に依存

簡単に言えば、クラス図が「設計図」なら、オブジェクト図は「設計図に基づいて作られたモデルハウスの特定の部屋を撮った写真」と例えることができます。

オブジェクト図の実務活用例

オブジェクト図は、複雑なデータ構造を説明したり、特定のシナリオを視覚化してチームメンバーの理解を助けたりするときに非常に効果的です。

1. ユーザーログインシナリオ

ユーザーがログインを試みている特定の瞬間のオブジェクト状態を表現できます。これによって開発者はデータの流れを明確に理解し、デバッグに活用できます。

classDiagram
    class user1 {
        userId = 101
        name = "Kim Cheolsu"
        email = "kim@example.com"
    }

    class auth1 {
        sessionId = "xyz-123-abc"
        isValid = true
    }

    user1 --> auth1 : authenticates

上記の図は「Kim Cheolsu」というユーザーが成功裏にログインし、有効なセッションIDを発行された瞬間を明確に示しています。

2. ショッピングモール注文システム

ひとつの顧客が複数の商品を注文する複雑な状況をオブジェクト図で表現すると、データ構造を簡単に理解できます。

classDiagram
    class c1 {
        name = "Lee Younghee"
    }

    class o1 {
        orderId = "ORD-001"
        date = "2024-05-21"
    }

    class li1 {
        product = "Laptop"
        quantity = 1
    }

    class li2 {
        product = "Mouse"
        quantity = 1
    }

    class li3 {
        product = "Keyboard"
        quantity = 2
    }

    c1 --> o1 : places
    o1 --> li1 : contains
    o1 --> li2 : contains
    o1 --> li3 : contains

この図は c1 顧客の o1 注文に「ノートパソコン」1台、「マウス」1台、「キーボード」2台が含まれた具体的な状況を一目で示しています。クラス図だけでは把握しづらいデータ関係を明確化するのに役立ちます。

効果的なオブジェクト図作成のためのベストプラクティス

  1. 目的を明確にしましょう:図を通じて何を説明したいのかを明確にする必要があります。特定のシナリオを説明するのか、複雑なデータ構造を例示するのか、目的によって図の焦点が変わります。
  2. シンプルに保ちましょう:システムの全てのオブジェクトを表現しようとしないでください。説明したい核心のシナリオに関連するオブジェクトだけを含ませ、図を簡潔に保つことが重要です。
  3. クラス図と併用しましょう:オブジェクト図はクラス図の補助資料として使われると最も効果的です。クラス図で全体の構造を提示した後、オブジェクト図で具体的な例を示せば理解度が大いに高まります。
  4. 一貫性のある表記法を使いましょう:UMLの標準表記法を遵守し、他のチームメンバーが混乱せずに図を理解できるようにしましょう。

より良い設計のためのスナップショット

UML オブジェクト図は複雑なソフトウェアシステムの「特定の瞬間」を捉えて示す強力な視覚的ツールです。抽象的なクラス図だけでは伝えにくいシステムの実際の動作方式を、具体的な例を通じて明確に伝えることができます。

次のプロジェクトでチームメンバーと複雑なデータ構造や特定のシナリオについて議論する際、ホワイトボードに簡単でもいいのでオブジェクト図を描いてみてください。きっとよりスムーズで明確なコミュニケーションが可能になります。このようにオブジェクト図を適材適所で活用すれば、皆さんのシステム設計はより堅牢になり、チームの協力力も一段と成長することでしょう。

参考文献