2025年 もはや jQuery を使ってはいけない理由

2025年 もはや jQuery を使ってはいけない理由

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dongAuthor
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2006年、ジョン・レシクが「write less, do more」というモットーとともに jQuery を世に送り出したとき、ウェブ開発は新たな時代へと突入しました。当時、人気のウェブサイトの 65% が jQuery を使うほど、jQuery は DOM 操作、イベント処理、アニメーション、Ajax リクエストなどを簡潔なコードで扱える必須ライブラリとして定着していました。

しかし、技術は常に進化し、ウェブ開発環境も大きく変わりました。最新の JavaScript 標準や React、Vue といった強力なフレームワークが登場するにつれて、jQuery の立ち位置は昔ほど優勢ではなくなっています。本記事では、jQuery がかつてどのような問題を解決してきたか、そしてなぜ今日の新しいプロジェクトにおいてはもはや最善の選択肢ではないのかを詳しく見ていきます。


モダン JavaScript の台頭

jQuery が広く支持された最も大きな理由は、「クロスブラウジング」問題への対処でした。2007年頃には Internet Explorer (IE) が 60%以上の市場シェアを占め、ブラウザごとに JavaScript の振る舞いが異なるのが日常でした。jQuery はそうした互換性の課題を吸収し、開発者がどのブラウザでも同じように動作するコードを書けるようにしてくれました。

しかし 2008 年、Chrome の登場により状況は変わり始めました。Chrome は高速描画と Web 標準への準拠を武器に急速にシェアを伸ばしました。他のブラウザも次第に Web 標準を強く意識し始め、ブラウザ間の互換性問題は徐々に縮小していきました。

さらに ECMAScript 標準が成熟し、純粋な JavaScript(Vanilla JS)だけでも、かつて jQuery が提供していた機能の多くを実現できるようになりました。たとえば、querySelectorquerySelectorAllclassList といったネイティブ DOM API を使えば、jQuery を使わずとも DOM 要素を選択・操作できますし、Ajax リクエストは標準機能である fetch API によって代替できます。


jQuery を置き換える技術

今日のウェブ開発では、jQuery の代わりに、より効率的でモダンな選択肢が広く使われています。

モダン JavaScript(Vanilla JS)

前述のとおり、今では純粋な JavaScript だけでも十分な操作が可能です。jQuery の各メソッドは、今やネイティブ API でほとんど代替可能です。

  • DOM 選択: $('.class')document.querySelector('.class')

  • Ajax リクエスト: $.ajax()fetch() API

  • クラス操作: $(element).addClass('foo')element.classList.add('foo')

さらに、Babel や Webpack といったツールを使えば、最新の JavaScript 文法で書いたコードを旧型ブラウザ向けに変換できるため、必ずしも jQuery に依存する必要はありません。

React, Vue.js などのフレームワーク

現代の Web アプリケーション開発では React、Vue、Angular などのフレームワークが中心になっています。これらは単なる DOM 操作を超えて、宣言的でモジュール化されたプログラミングスタイルを提供し、コードの効率化や保守性向上を助けます。

最大の違いは 仮想 DOM(Virtual DOM) の使い方です。jQuery は実際の DOM を直接操作するのに対し、React 等はまずメモリ上にある軽量な仮想 DOM を更新し、前の仮想 DOM と比較して、変化のあった部分のみを実際の DOM にまとめて反映します。この方法によって不必要な DOM アクセスや描画を最小化し、アプリケーションの性能を大幅に向上させます。


性能比較:jQuery vs モダン JavaScript

性能という観点では、jQuery にはいくつかの弱点があります。

  • ファイルサイズ:簡単な機能を実装するだけでも jQuery ライブラリ全体を読み込む必要があるため、純粋な JavaScript に比べて初期読み込み速度が遅くなる可能性があります。jQuery は当初最適化よりも互換性を重視して設計されたため、コードの容量が比較的大きいです。

  • DOM 操作速度:jQuery は実際の DOM を直接操作します。頻繁に DOM を動的に操作する場面では、ブラウザはレイアウトの再計算や再描画 (リフロー・リペイント) を繰り返さなければならず、パフォーマンスが低下します。一方で仮想 DOM を使うフレームワークはこうした処理を最小化でき、高い性能を実現できます。

  • コールスタック:jQuery はネイティブコードを多くラップした構造になっており、DOM 操作時に呼び出しスタックが深くなり、実行時間が長くなることがあります。

もちろん、jQuery も継続して最適化されてきたので、性能改善されている部分も多くあります。ただし、複雑で動的な大規模アプリケーションでは、仮想 DOM ベースのフレームワークのほうが一般的に優れた性能を発揮します。



新たなスタートのための提案

jQuery は Web 開発の歴史において大きな足跡を残した素晴らしいライブラリです。複雑だったウェブ開発環境を簡素化し、多くの開発者がより簡単に、より楽しくコードを書けるよう手助けしてきました。

しかし、ウェブ開発のパラダイムは今や変化しています。Web 標準が成熟し、性能と保守性を最大化する強力なフレームワークが登場しました。大規模で複雑なアプリケーションをこれから開発するなら、モジュール化やコンポーネント指向開発には不向きな jQuery はもはや理想とは言えません。

もしあなたが新しいプロジェクトを始めるなら、jQuery よりも最新の JavaScript 標準や React、Vue といったモダンなフレームワークを優先的に検討してみてください。そうすることで、より高い性能、容易な保守性、そして将来的な拡張性を実現できるでしょう。過去の栄光にとらわれるのではなく、現在と未来のウェブ開発トレンドに歩調を合わせて進むことこそがより賢明な選択です。